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  • 2017.05.29『警視庁抜刀課』観劇レポート(文・あたそ)


    昨日5/26(金)からスタートした『警視庁抜刀課』。土曜日のお昼にも関わらず、会場はほとんど人で埋まっている。
    ステージ上で繰り広げられる、緊張感のある殺陣、笑いあり涙ありで心地のよい登場人物たちの掛け合い。強弱がありつつテンポよく話が進んでいくものだから、あっという間に感じられた2時間。気を抜き、落ち着いてながら観ている暇なんて全くなかったじゃないか!


    劇中での一番の見どころは、なんといっても殺陣でしょう。

    『仮面ライダー電王』の中村優一 と、『仮面ライダーディケイド』の井上正大が、細身のスーツを着て日本刀を思い切り振り回している。そんなの、絶対かっこいいに決まってるじゃん! 会場にいた女性のお客さん全員の目がハートマークだったよ! あんなかっこいい癖に殺陣もマスターしちゃうなんてズルいでしょう! 欠点ないのかよ! 稽古の成果が花開く軽やかな身のこなし。 音と光を上手く利用した、息を飲む打ち合い。突如出現したライバルである義経・弁慶との度重なる対峙は、最後の最後までまばたきをするのも惜しいほどだった!
    憑き刀を求めて主人公たちの周囲に出現する義経役の山本一慶。台詞の言い回しだけでなく刀の扱い方もミステリアスかつ色気たっぷり。エロすぎ。観ているこっちがドキドキしてしまう……。

    登場人物たちの魅力だって見逃せない。真面目で強引な切通と、世話焼きで何かと切通に振り回される相棒の架光。抜刀課の同僚である、キュートな兎茶とまっすぐで仕事熱心な乾。「窓際部署」と呼ばれてしまうだけあって、なんだか間が抜けていて憎めない。憑き刀に翻弄される袴田は、原作には登場しないオリジナルの配役。物語をどう乱してくれるのか、原作を読んでいる方でもハラハラドキドキしながら観劇できるはず。
    主演の2人が引き立つのは、名悪役がいてからこそ。『警視庁抜刀課』にだって同様のことが言える。出演時間が主演の2人と比べて少ないながらも、最後の最後まで怪奇的だった義経と弁慶には観劇後、まんまと虜になってしまった方も多いでしょう。

    出演者たちが制限された時間とステージの中で駆け回り、原作内の人物を忠実に再現しつつも各々が掘り下げ、更に魅力が増している。この配役大正解!という安心しきった気持ちで最後まで見ていられた。


    私の中で最も印象に残ったのは、切通と六人部真名の掛け合いかなあ。
    祖母が亡くなり孤独となってしまった真名と出会い、過去の自分を重ねて考えてしまった切通。本当の意味で刀に取憑かれ、自分と切り離して考えられないのは、彼なのではないかと思う。


    「お前は・・・不幸になるな」
    「刀に縛られてしまえば、後はもう不幸しか生まれない」
    「刀は、人を斬って、殺すための道具だ。そんな物持ち続ける覚悟が、君に本当にあるのか」
    祖母の形見でありながら不幸の元凶である懐刀を手放せずにいる真名に語られた台詞だったのだけれど、自分と重なる部分を見出し、決して忘れることのできない過去の自分に対しての言葉でもあったように思う。

    人との出会い、そして相棒でありライバルでもある架光との関係を通じて、切通の心情がどのように変化していくのかも、大きな見どころの一つでしょう。
    イケメンが刀振り回すだけで、中身のない内容になるんじゃないかな? なんてちょっと思っていたので、物語を通じた登場人物の気持ちの変化、そして短い時間の中で出演者がどのように表現していたのかは、期待以上のものだった。

    また、最後のアフタートークは、まさかまさかのみやけみつるマジックショー! 今回の公演は、井上正大、岩田華怜、伊藤陽佑の3人が出演。各人が挨拶で笑いを取って早々、突然始まるみやけのマジックに困惑し、緩さ満載の素の様子が伺えるのも見物だった。まさか、シブゲキでマジックを見ることになるなんて……(笑)。あんなに真剣で緊張感溢れる殺陣を行った後とは思えないほどのギャップは最後まで見逃せない。
    アフタートークのゲストも内容も各公演で異なっている。各出演者の新たな一面を見ることもできそう。



    警視庁抜刀課は、5/26(金)から6/4(日)まで。初めて見ても楽しめることはもちろん、公演本番を通じて殺陣や演技の上達を見ることもできるはず。スーツを着た男たちの迫力ある殺陣を間近で体感してもいいし、各出演者の役どころに注目してもいい。シリアスなシーンが多い中、確実に笑いをかっさらっていくアドリブを楽しみにしてもいいでしょう。それとも、アフタートークでの出演者のギャップにキュンとする?
    一度……いや何度観ても様々な角度から楽しむことができるので、気になる方は足を運んでみてはどうだろう。





    あたそ

    神奈川県横浜市出身。Twitterでの非モテ・容姿に対する自虐、音楽ネタのツイートが人気を博す。現在フォロワー数は88,000人を突破。そのほかバンドのニュースリリース、イベントへのコメント寄稿などでも活躍中。2014年に開催された初のトークイベントもソールドアウトし、大盛況のうちに終了。またの名をTwitter界のニュー卑下アイドル。(あたそ @ataso00|onTwitter)



    舞台「警視庁抜刀課」絶賛上映中!

    6月4日(日)まで渋谷、CBGKシブゲキ‼にて。
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